【脂質】

青魚などに含まれる必須脂肪酸

 EPA(エイコサペンタエン酸)はDHA(ドコサヘキサエン酸)とともにイワシやサバなどの青魚に含まれる必須脂肪酸、n-3(ω3)系の不飽和脂肪酸です。魚やアザラシを常食するイヌイットでは、脂肪摂取量が多いにもかかわらず血栓症や心疾患が非常に少ないことから注目されはじめた成分で、体内で合成することができません。
EPA
 血栓を防止する成分を含んでいますので、生活習慣病の予防や改善に効果があるとされています。EPAとDHAを成分として含む特定保健用食品があります。


 EPAは主に血管の健康維持に働く栄養素であり、DHAは主に脳の健康に重要な働きをする栄養素なのです。

循環器疾患予防のみならず、肥満予防、免疫力向上も

 魚の消費量の多寡で健康な成人の血小板凝集能を比較した日本での研究で、魚の消費量が多いほうが、血小板凝集能が低かったことから、EPAが血小板凝集能抑制や血液流動性の改善に効果があることが認められています。

 健康な成人を対象とした比較試験で、加工製品であるEPA油を4週間摂取させたところ、血小板凝集能の低下が認められ、性別では男性で効果がみられたとの報告があります。

 18歳以上の高血圧薬非服用者によるDHAとEPAの摂取は、収縮期・拡張期血圧を低下させたという報告があります。肥満、高血圧患者の体重を減少させたとの研究報告もあります。

 抗うつ治療の補助剤として、経口摂取による有効性が示されています。標準的な抗うつ薬治療に加えて、EPA 1gを1日2回摂取したところ、治療2週間で気分の消沈、罪悪感、無気力、不眠などの症状が改善したという報告があります。

 L-アルギニンなどとの組み合わせの経口摂取あるいは経管摂取で、手術後の回復時間を短縮し、重篤な合併症の予防、免疫能の向上に有効性が示されています。

 コホート研究で、EPAの摂取による花粉症のリスク低下や魚油を多く含む魚の高摂取で前立線ガンリスクが低下の報告があります。

EPA10倍のサラサラパワー『DPA』

大量摂取で胃腸不調の可能性

 厚生労働省によると、1日あたりの摂取目安量では、1000mg程度が望ましいとされております。

 EPAを含む魚油の大量摂取の副作用として、げっぷ、吐き気、鼻血、軟便が知られています。食事と一緒に摂取することで、副作用を軽減することができます。

関連する項目

 血液流動性改善、血栓症、高脂血症、心臓病、生活習慣病、動脈硬化、高血圧、花粉症、うつ